空家のレッスン

2014年11月11日 - event / exhibition / text / WORKS

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大山の麓に「○○○」と書かれた店を見つけた。ポテトチップス、駄菓子、コーラにワイン、これといって特別なものは何もない普通の○○○だった。
少し埃っぽい店には、これまた愛想のない主人がいて、黙ってコーヒーを淹れてくれた。
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コーヒーを一杯飲んで一息つく、こんな○○○くらいは欲しい。ところが、個人で営業しても、十分な収益をあげるには村人の数が少なすぎる。というわけで、村中の人が、ほぼ一月に一日ずつの当番制でこの場○○○を経営しているのだ。
古い校舎を利用しているという店で、カプチーノを飲みながら、あれこれ質問していると、やがてAという主人が現れた。町長や観光協会の会長もやっていたという彼は、大山随一の情報通で、この街には少ない燃えるような郷土愛の人だった。
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猪の狩り方の話しそれから低いテーブルの席に移ってワインを飲んだ。
畑で取れたフルーツを白い箱いっぱいにもってきた老人。コーヒー代金の代わりらしい。
泊っていた宿の店主が白くて大きな犬を連れてやってきた、大きな白い犬は人が訪れるたびに入口で吠えていた
中には吠えない人もいて聞いてみると、犬が好きな人と嫌いな人を見分けれるようだ。
時刻は午後4時くらいになり、夕飯の仕度をするためにそれぞれ家に帰った。
雨が降ってきた。店内は静かな時間が流れた。
開店からずっといる若い女性は、デザインの仕事をしているようで数年前に関東から鳥取に引っ越してきた。
来年は関東に戻ると言って手作りのカレンダーを差し出した。季節の食べ物の絵が描かれていた。
この店を教えてくれた若い漁師がやってきた。外で話した時はとてもおしゃべりで、でもまじめな印象だったが。
店内ではあまりしゃべらず静かにコーヒーを飲んでいた二人の少年は寡黙でひそひそと話している。
たぶんこういった場所はまだなれていないのだ
夜7時ころになると再び近所の人が合わせたかのように一斉にやってきて店内は騒がしくなった
夜には少しいったところにある大きな街からも若者がやってきて、子供から大人までにぎわった
あたりは真っ暗でそろそろ麓まで乗せていってもらおうかと思ったが、あてにしていた車がうんともすんとも動かない。雨はだんだん強くなってきて、あたりは街灯も少なく、寂しくなる
近所に助けを求めたが、結局車はなおらなくてそのままにして山を降りた
そう言えば今日はろくな食事をしてないと、帰りに国道沿いの定食屋に寄って宿に帰った
とても寒くなったが、少し寝たら明日は朝からまた近所の銭湯にはいれるのだ。
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DSCN0982

2014年11月12日13:00-21:00
旧長田の分校(大山町の長田集落※鳥取県)
http://ukabullc.com/works/2014/10/133.php

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